実用性はいまいちと評したTOUCH MOUSEですが、その後もずっと使い続けています。確かに不満点は数多く浮かびますが、筆者の環境ではさほど困ってなかったりします。むしろ最近ではすっかりお気に入りとなりました。そんなわけで、本マウスを元にいろいろ考察してみようかと思います。今回はWindows環境におけるタッチパネルとホイールとの非親和性を取り上げたいと思います。

 いまでこそ当たり前ですが、WindowsがホイールをサポートしはじめたのはWindows 98からです。当時はチルトもなければ、滑らかに回転するホイールもなく、ノッチが刻まれているのが当たり前でした。Windowsは「刻み」に対して反応を返すだけで、要するに、ホイールとは言っても実際にはボタンの連打と大差ないわけです。
 その後マウスもOSも進化していくなかで、ホイールはしばらく変わりません。ようやく手が加えられたのがWindows Vistaで、そこからいくつかの拡張機能をサポートするようになります。その中でも代表的なものが水平スクロールと、スムーズスクロールです。水平スクロールについては説明不要でしょう。これを受けてチルト機能を備えたホイールが登場します。
 そして、スムーズスクロールの実装によってWindows上での滑らかなスクロールが可能となりました。今では各種アプリケーションでその恩恵を受けることができます。また、それまでは入力される「刻み」に比例した行数分移動させることしかできませんでしたが、スムーズスクロールなら少しだけ回せば少しだけ動かすことができます。この機能は広く受け入れられ、いまでは殆どのマウスがノッチの無い滑らかなホイールを備えています。

 なお、意外と話題に上ることは少ないのですが、スムーズスクロールを使うためにはいくつか条件があります。一つ目はVista以降のWindowsであること。XPで独自実装しているメーカーもありそうな気はしますが、OSの標準機能としてサポートされるのはVistaからです。二つ目はハードウェアがスムーズスクロールに対応していること。滑らかに回るホイールを持つマウスは大抵対応していると思います。ただし、デフォルトでは無効にされていて、OS側が「このマウスはスムーズスクロールに対応しているな」と認識したときに有効化されます。なのでドライバをインストールしないと有効になりません。そして三つ目、アプリケーションがスムーズスクロールに対応している必要があります。ここの扱いは様々で、マウスに応じて自動的にスムーズスクロールを有効にするアプリケーションもあれば、オプションで選択できるものもあります。
 ところで、スムーズスクロール非対応のマウスに対してアプリケーションで有効にするとどうなるでしょうか。試してみればすぐわかりますが、それっぽく滑らかに動きます。ただし、画面上の動きとホイールが同期しないので個人的にはむしろ使いづらいように感じます。

 ちなみに、お隣のMacOSではスムーズスクロールはOSレベルで管理されています。Finder等OS標準のソフトも対応しているので常に滑らかなスクロールが楽しめるわけです。それに比べてWindowsは統一感が無くいまいちわかりにくいという印象を受けるかもしれません。ただ、これはアプリの互換性を優先した結果で、一概にどちらが良い悪いと言い切れるものではないです。また、カクカクしているからダメというわけでもなくて、描画が早くパフォーマンス面に優れるという利点も持っています。

 ただ、OSレベルで完全に対応していないことが、Windowsがタッチパッド等のリニアなインターフェイスとの相性が悪い要因となっていることも事実です。操作に動きがついてこないわけです。ラップトップではタッチパッドでホイール操作が可能ですが、スムーズスクロール非対応のソフトで正確に1刻み入れるにはかなりの熟練が要求されます。TOUCH MOUSEではなお悪いことにドライバレベルで加速がかかるので、何刻み入れたのか全く把握できません。結果として、基本的なソフトであるエクスプローラーが使いづらいということになります。

 Windows 8ではホイールはどうなっているのでしょうか。タッチを想定したModernUIではもれなくスムーズスクロールに対応していそうなものですが、互換性が求められるデスクトップでは相変わらずな気がします。既に試してみた方がいたら是非教えて欲しいところです。もっとも、完全にModernアプリに移行するならともかく、汎用性を考えるとノッチのついたレガシーなホイールが無難なことに変わりはないでしょう。
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