どんどん値下がりの進む液晶モニタに比べると、どうしても測色計は高価に感じられるかと思います。以前よりずっと安くなってはいるのですが、1万円強あったらフルHDモニタが買えてしまうのも事実です。ただ、個人的には値段相応の価値はあると思います。厳密には製品ごとに使用台数のライセンスが決まっているとはいえ、気にしなければ手持ちのPC全部を調整できます。なにより、ハードウェアで調整機能を持たないノートPCで使えるというのも大きいです。
 そんな測色計ですが、フィルター型と分光型の二種類に分かれています。それぞれ色を読み取る方式が異なっていて、基本的に分光型の方が高性能ですがその分高価です。モニタの調整をするだけであればフィルター型で十分だと思いますが、一応違いを確認しておきましょう。

色域と精度
 色域は分光型の方が広いです。広色域モニタの普及と共にフィルター型も広い色域に対応できるように改善されてはいますが、まだまだ分光型にはかないません。フィルター型は広色域の緑で誤差が出やすいと言われています。とは言え、一般的なsRGBモニタで使う分には違いはありません。また、暗部に関してはむしろフィルター型の方が精度に優れる場合も多いです。

経年劣化
 測色計は段々と劣化していきます。モニタに比べればはるかに緩いものの、それでも長く使っていると徐々に誤差が大きくなっていきます。そして、劣化速度はフィルター型の方が早いです。
 まず、分光型の場合は読み取りセンサー自体はあまり劣化しないと言われています。そのため、内部光源が劣化しても基準との差異がわかれば補正をかけることができます。事実、分光型はセンサー自身のキャリブレーションをしてから測定に入ります。
 対して、フィルター型はカラーフィルターそのものが劣化してしまいます。構造上自己補正をかけることはできないので分光型と比べると劣化は早いです。

 色域に関してはsRGBモニタを使うでしょうから悩む必要はありません。そもそもAdobeRGBで作業するには前提として確かなカラーマネジメントの知識が必要なので、なんとなく広色域モニタが欲しいなぁと思っても手を出してはいけません。
 問題は、初期投資が高くても長持ちする分光型を買うべきかどうかです。ただ、こちらもフィルター型で問題ないかと思います。厳密な照明環境下で使わない限り、ちょっとした誤差はあまり気になりません。モニタ専用にするには分光型は勿体ないように思います。

どれぐらい劣化するのか実例を
 フィルター型では定番だったSpyder2センサー。確か2006年に購入したもので5年以上経っています。当時はexpressで2万強したものです。
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 こちらは比較対象としてのColorMunkiセンサー。使用期間は1年にも満たないのでほぼ狂いはないと思います。
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両センサーで手持ちノートPCを測定した結果がこちら
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 着色されている方がColorMunkiで作成したプロファイル。外周の白枠がSpyder2のもの。5年でこの誤差を大きいととるか小さいととるかは人それぞれでしょうか。個人的にはこの程度の誤差なら買い替えずに使うと思います。ただし、経年劣化とは別にSpyder2には致命的な欠点があります。

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 ディスプレイLUTに対する補正値。左がColorMunki、右がSpyder2です。これでは使えません。補正値を見ると、左では大きく青を下げているのに対して、右では少し下げるにとどまっています。青が強すぎるとSpyder2は認識できないようです。
 これは何もSpyder2が欠陥品だというのではありません。ただ、CRT時代の製品なのです。もちろん液晶でも使えますが、その時は液晶用のフィルターを装着します。センサーがそもそもCRT向けに設計されているのです。そして、ディスプレイが最も苦手な発色はつい最近まで青でした。Spyder2発売当時は強い青を想定する必要がなかったのです。
 ところが、近年液晶のバックライトにLEDが使われるようになります。最も多く使われている安価な白色LEDはどれも青色LEDをベースに作られています。結果として、CCFL時代とは比べ物にならいくらい青の発色が強くなりました。店頭に並んでいるディスプレイがどれも青っぽいのはこのためです。

 というわけで、測色計は新しめのものを用意しましょう。フィルター型の場合はディスプレイ光源タイプを指定してやる製品が多いようです。ちなみに、分光型は光源を備えているのでディスプレイの光源や表面仕上げに左右されずに安定した測定が可能です。
Tags: cms spyder colormunki
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