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 WP-9193DACはPCM1793を採用した基板完成品DACキットです。キットといってもジャンパを取り付けて終了なので手を加える必要は殆どありません。加工済みケースも発売されているのでこれまでアンプ製作をしたことがない方でも問題なく使えるでしょう。
 手軽さもさることながら、MUSEやWIMAといった信頼性の高い部品が使われていることもポイントです。こうしたキットの場合、自分で選別したパーツを使いたくなるのが常ですが本製品であれば素のパーツ構成でも十分納得して使えます。事実、筆者は音を聞いてあまり手を加える必要はないと判断しました。
 そして、何よりも筆者の琴線に触れたのがカップリングコンデンサを持たないことです。DACなんだから当たり前だ、と思った方はおそらく少数派で、世のDACの大半は出力段でDCをカットしています。万が一DCアンプに繋げられるかもしれないと考えると確かに製品としてはその方がいいのでしょうが、自作派の人間にしてみるとプリアンプがいるからDACからは直接DCを出したいところです。カップリングを2回も重ねるなどとても考えられません。本製品があくまでもキットである最大の利点と言えるでしょう。

 今回は素の音を確かめる目的で加工済みケースと推奨のACアダプタを合わせて購入しました。全部で1万円ほど。24bit/96kHz対応の単体DACを買ったと考えると非常に安価だと思います。ご覧の通りケーブルも適当です。こんな感じで24時間程聞いたのでキット本来の音を評価していきます。
 まずは全体を左右するS/N比から。1500円のACアダプタで鳴らしている割には非常に立派と言えます。比較対象のMAYA44eはカタログスペック108dBで、決してS/N比の大きいカードではないのですが、実用上不満を感じたことはなくむしろ聴覚上は以前使っていたSE-90PCI(110dB)を上回っていた印象さえあります。そのMAYA44eに対して明らかにS/N比が大きいことが感じ取れます。勿論内臓と外部の違いはあるかと思いますが、カタログスペック114dBでも殆どMAYA44eと違わなかったSB-DM-PHDのことを考えると同じ外部DACでも差は歴然です。
 続いては透明度について。と、その前に透明度という単語そのものについて説明します。オーディオ用語は今や独り歩きしすぎて単語を聞いても意味が取れないことも多いのですが、ここで言う透明度とは"はっきりと個々の音が聞き取れる"度合を表します。視聴時に区別できる音数と言ってもいいでしょう。人によっては音像と言ったり分離度と言ったり解像度と言ったり、あるいはそれらを総合したものだったりと曖昧なのでそれらの単語を使うことは避けました。ところで、どうやったら透明度が上がるのかは筆者にもよくわかりません。S/N比が上がれば聞こえる音数も増えそうなものですが、明らかにS/N比の高いアンプがそれよりも低いアンプに比べて透明度が低いということは往々にしてあります。ただ結果として、コンポーネントやセッティングによって透明度に差が出るということを経験的に知っているだけです。なお、筆者のオーディオ観はひたすら透明度の高い音を求めることにあります。
 さて、その透明度ですが、こちらも貧弱な電源を感じさせない鳴りです。全域通してMAYA44eより上だとすぐにわかりました。低域が少し荒れている印象があるのですが、それでも比較的低域の弱いMAYA44eよりも優秀です。独立電源の強みだと言えます。正直、S/N比はともかく透明度でMAYA44eに対してはっきりとした優位性を示すとは思いませんでした。

 総合すると、WP-9193DACは非常に優秀です。少なくともコストパフォーマンスにおいて本製品に勝るDACは考えにくいと思います。しかも、これが素組み状態での音というのが驚きです。端子をつけかえて安定化電源を用意してやったらどうなるのか、今からとても楽しみです。
Tags: dac
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