Venue 8 Proに限らず、8インチWindowsタブレットが注目を集めている理由の一つに、最新世代のAtomプロセッサーを搭載していることが挙げられます。ご存じのとおり、もともとAtomはネットブックに広く採用されたIntelのローパワー/省エネ型CPUであり、XP時代にはそれなりのシェアを築いていた印象が残っています。筆者の記憶が確かなら、当時Intelの主力モバイルCPUはCoreシリーズに突入していて(Meromあたり?)優れた性能を発揮していましたが、一方でAtomは同クロックのPentium4と同程度とこれまた魅力的なパフォーマンスを有していました。
 ただ、その後OSのアップデートとともに性能不足が目立ち、なおかつ低価格帯にCULVが投入されたこともあってAtomは徐々にフェードアウト。後にシュリンクされたZ2000シリーズがモバイル向けに投入されることになりますが、やはり性能不足は否めずヒットとはなりませんでした。

 歴史の話はさておき、最新世代Atomはモバイル向けの主力にするべくIntelが設計を大きく見直し、22nm FinFETプロセスで製造される文字通り最新のCPUになります。本機に搭載されるAtom Z3740D(Bay Trail/4コア/1.33-1.86GHz)の詳細はIntelのページを見てもらうとして、今回はCore 2 Duo T7250(Merom/2コア/2GHz)搭載のLatitude D630、Core i5 3317U(Ivy Bridge/2コア/1.7-2.6GHz)搭載のIdeaPad Yoga 13とベンチマークスコアを比較していきます。ただ、どのマシンもOSをクリーンインストールしたりということはなく、かつOSも微妙に違うので厳密な性能比較ではなくあくまでも大雑把なものになります。

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 最初はシングルスレッド性能をみるSunSpiderとSuper PIです。計算完了までの時間を測るテストなので値が低い方が優秀です。なお、SunSpiderは条件を揃えるためにブラウザをFirefox25に統一しています。シングルスレッドはクロックが素直に反映されやすいだけあってブーストの効くi5が圧倒的ですが、C2Dが思いのほかSunSpiderで善戦しています。Atomはi5比で約1/3の性能。

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 続いてマルチスレッド。ALUは整数+論理計算、FPUは浮動小数点の計算能力をはかるもので、こちらはスコアが高い方が優秀です。ここでは4コアAtomの本領発揮で、FPUでC2Dと同等、ALUでは40%ものアドバンテージを見せました。i5比でも6割程度に食いついています。

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 最後にグラフィック系。ちなみにLatitude D630に採用されているQuadro NVS 135MはGeForce 8400M GSであり、なんとなく立ち位置も想像できるのではないでしょうか。消費電力を考えるとAtomもかなり頑張ってはいるのですが、やはり3Dゲームは厳しそうな印象。ちはやローリングの結果を見る限りでADVゲームやブラウザゲーは問題なさそうです。コミケのお供にいいかもしれません。

 筆者は先代Z2000シリーズの端末を所有していないので直接比較はできませんでしたが、Bay TrailではCPU性能が2倍に、GPU性能が3倍になっていると言われています。間違いなくIntel史上最も電力効率の良いCPUに仕上がっていることでしょう。そもそも、AtomがHaswellと同じ最新プロセスで作られていること自体が筆者からしてみるとちょっとした感動だったりします。現在、立体的にゲートをくみ上げて3次元トランジスタを出荷しているのはIntel一社のみ。それを手のひらで動かすことにロマンを感じるのであれば間違いなく本機は買いです。もちろん、ロマンのみならず実用的な性能も同時に手に入ることでしょう。
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 レビューの第一弾として、まずはディスプレイ品質をチェックしたいと思います。カタログスペック的なものをおさらいすると、本機のディスプレイは8.0インチ、1280x800の解像度を持ちます。画素密度は189dpiとまずまず。視野角の広いIPS方式なので一般的なタブレットの使用距離であれば不満はありません。ただし、スマートフォンでは主流の300dpi近いディスプレイに慣れていると文字が荒く感じられることでしょう。
 また、カタログに明記されてはいないのですが、目視で確認した限りではガラス面と液晶面との間に空気層はありません。これは本来空気が入り込む部分を透明樹脂で埋めることで画質を向上させる加工がなされているということで、Sonyでいうオプティコントラスト、一般的にはダイレクトボンディングと呼ばれる工法になります。一部Sony製デバイスやSurface、現行Nexus7などにも施されています。あえて付け加えるとiPadでは何故か採用されていないので、コントラストで不利だったりします。
 高精細ディスプレイの採用については予てより人によって意見の分かれるポイントで、確かにクッキリとした文字は魅力的なものの、トレードオフとして消費電力の増加は無視できないものがあります。Windowsの場合はさらにデスクトップアプリの互換性という問題が絡んで更にややこしいところですが、本機は無難なところに落としてきたという印象があります。群雄割拠のAndroid端末とは違い、市場を見渡してみてもサブ10インチWindowsタブレットは数えるほどしかない現状ではコンパクトに纏めた方が有利という判断は自然だと言えるでしょう。
 そもそも、本機を含めた8インチWindowsタブレットはiOS/Androidとは異なるセグメントの製品であり、もっと言えばWindowsであることに最大の価値があるので、精細度の大小はそこまで大きな問題ではないのかもしれません。

 それでは肝心の測定データです。例のごとく測色計にはSpyder4を用いています。

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 色域からみると、この手のデバイスとしては優秀なsRGBカバー率81%。おそらく大多数のラップトップよりも優れています。最近のIPSパネルらしく青が控えめで暖色に強い傾向です。

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 こちらは補正カーブ。青が強いので下げていることが見て取れます。一番色域が狭い青方向を下げるのは不思議に感じられるかもしれませんが、これはよくあることだったりします。最近主流の白色LEDバックライトは、輝度としての青成分は強いという特徴を持つ一方で、色域としての"青さ"は優秀とは言えないものが多く、そのために青い光は出るけど深みが足りないディスプレイになってしまうわけです。
 明るさは調整後で最低が22[cd/m^2]、最高で360[cd/m^2]まで到達します。屋内利用には十分すぎる明るさです。ただし、数字でいえば現行Nexus7やiPad Airは500cdまで出せるので、屋外での視認性では彼らに劣ります。

 なお、ディスプレイ品質とは直接関係ないのですが、本機にはディスプレイ周りのバグがあることにも触れておかなくてはなりません。ひとつは、明るさの自動調整機能オンにすると手動では調整ができなくなります。Androidであればこれは仕様であり問題はないのですが、Windowsでは自動調整時でも手動で明るさの微調整が効くようになっています。しかし、本機では手動による微調整が一切効かない上に、自動調整では非常に画面が暗くとても実用に耐えません。結果として、自動調整を切って常に手動で管理するより外手がないのです。
 もっとも、明るさ自動調整があてにならないデバイスは山のようにあります。常に手動で明るさを調整すること自体は大した問題ではないでしょう。ところが、さらに事態を悪化させるバグがもうひとつ加わります。本機でスリープから復帰するために電源ボタンを押すと何故か明るさ最大で画面がつくのです。そのため、画面を入れるたびにその都度明るさを再調整しないといけなくなり、かなり鬱陶しいです。間違いなく使い勝手に響いている部分であり、早急な修正を望むばかりです。

 そんな感じで、決して完璧とは言えない部分も多い本機のディスプレイですが、致命的な欠点はなく総じて素敵なディスプレイだと思います。加えて色再現性については、Windowsならではの利点としてカラーマネジメントが効くという絶対的なアドバンテージを持ちます。特にプロファイルを作成してから対応ソフトで動画を再生したときの映像美は一種の感動すら覚えます。テキストコンテンツや写真だと精細度がものをいう場面も多いですが、正確な色が重視される動画再生においては間違いなくサブ10インチクラスで随一の品質だと言えるでしょう。
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 日本でも正式発表されたDellの8インチWindowsタブレット"Venue 8 Pro"が無事に届きました。今後数回にわたって詳細に取り上げるつもりですが、はじめに多くの人が気になるであろう点について軽く触れたいと思います。


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1. ストレージ
 筆者がオーダーしたのは64GBモデルですが、初期状態での空き容量は38.5GB。MicroSDで更に最大64GB足せます。これを多いと考えるか少ないと考えるかは微妙なところで、Windowsマシンとして見たら物足りないですが、タブレットとして考えると十分許容できるかなと思います。
 なお、リカバリ領域などを削除してまっさらなディスクにOSをクリーンインストールした場合には空き容量が51GBまで増えます。当然サポート外にはなりますが、Windowsマシンらしく自由度は高いです。
 一応、OSを再インストールした後にとったベンチマークも載せておきました。eMMCなのでSSDと比べると非常に遅いです。ただ、実際に使う分にはサクサク動いてくれるので、数字ほど体感に差が出る場面はごく限られています。
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2. USBポート
 本機にフルサイズのUSBポートはついていませんが、充電用のMicroUSBポートが備わっています。そして、このポートはデータ転送にも使えます。残念ながら米国版のパッケージには変換ケーブルが同梱されていないのですが、別途USB On-The-Goアダプタを用意すれば普通のUSB 2.0として利用できます。ハブを噛ませても問題はなく、前述のクリーンインストールはマウスとキーボードとUSBメモリを同時に繋いで行いました。理論上はWindowsに対応する全てのUSB機器が使えます。

3. スタイラス
 本機にはアクティブデジタイザがオプションで用意されています。ただ、その仕様は少し謎めいています。日本での発表記事をみるとワコム製と報道しているメディアがいくつかあるのですが、米国ではSynapticsのテクノロジーだと書いてあります。どちらが正しいのかはともかく、本機はWinTAB APIには対応していません。そのため、Photoshopに代表されるWinTAB APIのみを利用するアプリでは筆圧感知が働きません。

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