dispcalGUIを推すついでに、メーカー純正ソフトウェアが意外とダメだという話をしたいと思います。何かと言うと不具合についてです。もちろん不具合のないソフトが殆どでしょうし、あったとしても特定の環境下でのみ発現する場合が多いでしょう。ただ、筆者はどうにもキャリブレータの不具合に当たりやすいようなので紹介したいと思います。

Spyder2
 まずは旧ColorVision社から。その後買収されてSpyder3以降はDatacolor社から出ているので最近のは改善されているとは思いますが、Spyder2の付属ソフトは結構雑でした。
 買ってきたら最初にソフトをインストールするわけですが、日本語を選択すると文章が文字化けします。何かしらランタイムを必要とするのでしょう。ただ、それならばインストーラーに付属させるのが当然だと思うのですが一切ありません。しかも、ネットから入手した最新のアップデータでインストールしても文字化けするので全く修正されていません。まあ、インストールは次へを連打すればいいだけなので実用上問題ないのが救いです。
 二つ目はいちいち出る謎のエラーメッセージです。残念ながらもうソフトを入れてないのでスクリーンショットは撮りませんでしたが、プロファイル作成時はもとより、ProfileChooserでプロファイルを切り替える時にも謎のエラーメッセージがぽんぽん出てきます。XPからVistaを経て7でも使いましたがOSに限らず出続けています。こちらもアップデートしても変わりません。幸いにもエラーメッセージが出ようとも問題なく操作できますし、測定結果も問題ないようなので実害は無さそうですが、精神衛生上非常によろしくないことは言うまでもありません。

ColorMunki Photo
 お次はX-Riteの現行製品。問題の程度で言えばこちらの方が遥かに深刻です。ちなみに、筆者の環境は64bit版Windows7にソフトは最新のバージョン1.1.1です。とりあえずこれを見てください。
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 どちらもデスクトップで使っているモニタを純正ソフトでキャリブレートして作成したプロファイルです。左がプライマリ、右がセカンダリですがどちらもダメでした。何が問題なのかというと、二つのプロファイルとも白色点6500Kに指定して作成したということです。しかし結果は両方とも白色点が5000Kになってしまいました。
 なお、バージョン1.1.1ではターゲットを、固有の白色点(ネイティブ)、D50(5000K)、D55(5500K)、D65(6500)の中から選べるのですが、どれを選んでもプロファイルの白色点が5000Kになります。これはもう致命的と言っていい不具合だと思うのですが、バージョン1.1.1がリリースされたのが2009でそれ以降修正版は出ていません。ちなみに、Macでも試しましたがやはり白色点が5000にされてしまいます。

 ということで、純正ソフトの不具合紹介でした。Spyder2はともかく、ColorMunki Photoは現在のソフトでは使い物になりません。これらに比べるとdispcalGUIの挙動は本当に安定していて、できたプロファイルにも問題は見受けられません。オープンソースとは言え非常に信頼性の高いソフトウェアと言えます。
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 どんどん値下がりの進む液晶モニタに比べると、どうしても測色計は高価に感じられるかと思います。以前よりずっと安くなってはいるのですが、1万円強あったらフルHDモニタが買えてしまうのも事実です。ただ、個人的には値段相応の価値はあると思います。厳密には製品ごとに使用台数のライセンスが決まっているとはいえ、気にしなければ手持ちのPC全部を調整できます。なにより、ハードウェアで調整機能を持たないノートPCで使えるというのも大きいです。
 そんな測色計ですが、フィルター型と分光型の二種類に分かれています。それぞれ色を読み取る方式が異なっていて、基本的に分光型の方が高性能ですがその分高価です。モニタの調整をするだけであればフィルター型で十分だと思いますが、一応違いを確認しておきましょう。

色域と精度
 色域は分光型の方が広いです。広色域モニタの普及と共にフィルター型も広い色域に対応できるように改善されてはいますが、まだまだ分光型にはかないません。フィルター型は広色域の緑で誤差が出やすいと言われています。とは言え、一般的なsRGBモニタで使う分には違いはありません。また、暗部に関してはむしろフィルター型の方が精度に優れる場合も多いです。

経年劣化
 測色計は段々と劣化していきます。モニタに比べればはるかに緩いものの、それでも長く使っていると徐々に誤差が大きくなっていきます。そして、劣化速度はフィルター型の方が早いです。
 まず、分光型の場合は読み取りセンサー自体はあまり劣化しないと言われています。そのため、内部光源が劣化しても基準との差異がわかれば補正をかけることができます。事実、分光型はセンサー自身のキャリブレーションをしてから測定に入ります。
 対して、フィルター型はカラーフィルターそのものが劣化してしまいます。構造上自己補正をかけることはできないので分光型と比べると劣化は早いです。

 色域に関してはsRGBモニタを使うでしょうから悩む必要はありません。そもそもAdobeRGBで作業するには前提として確かなカラーマネジメントの知識が必要なので、なんとなく広色域モニタが欲しいなぁと思っても手を出してはいけません。
 問題は、初期投資が高くても長持ちする分光型を買うべきかどうかです。ただ、こちらもフィルター型で問題ないかと思います。厳密な照明環境下で使わない限り、ちょっとした誤差はあまり気になりません。モニタ専用にするには分光型は勿体ないように思います。

どれぐらい劣化するのか実例を
 フィルター型では定番だったSpyder2センサー。確か2006年に購入したもので5年以上経っています。当時はexpressで2万強したものです。
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 こちらは比較対象としてのColorMunkiセンサー。使用期間は1年にも満たないのでほぼ狂いはないと思います。
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両センサーで手持ちノートPCを測定した結果がこちら
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 着色されている方がColorMunkiで作成したプロファイル。外周の白枠がSpyder2のもの。5年でこの誤差を大きいととるか小さいととるかは人それぞれでしょうか。個人的にはこの程度の誤差なら買い替えずに使うと思います。ただし、経年劣化とは別にSpyder2には致命的な欠点があります。

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 ディスプレイLUTに対する補正値。左がColorMunki、右がSpyder2です。これでは使えません。補正値を見ると、左では大きく青を下げているのに対して、右では少し下げるにとどまっています。青が強すぎるとSpyder2は認識できないようです。
 これは何もSpyder2が欠陥品だというのではありません。ただ、CRT時代の製品なのです。もちろん液晶でも使えますが、その時は液晶用のフィルターを装着します。センサーがそもそもCRT向けに設計されているのです。そして、ディスプレイが最も苦手な発色はつい最近まで青でした。Spyder2発売当時は強い青を想定する必要がなかったのです。
 ところが、近年液晶のバックライトにLEDが使われるようになります。最も多く使われている安価な白色LEDはどれも青色LEDをベースに作られています。結果として、CCFL時代とは比べ物にならいくらい青の発色が強くなりました。店頭に並んでいるディスプレイがどれも青っぽいのはこのためです。

 というわけで、測色計は新しめのものを用意しましょう。フィルター型の場合はディスプレイ光源タイプを指定してやる製品が多いようです。ちなみに、分光型は光源を備えているのでディスプレイの光源や表面仕上げに左右されずに安定した測定が可能です。
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2012.03.27 09:37 (GMT+9)
Category:PC
 モニタの色を調整する方法はいくつかありますが、測色計を使うのがベストだと断言できます。数ある目視による調整はほぼ意味を成しません。そんなわけで、測色計を買わないといけません。
 測色計で検索してもなかなか目当ての製品は出てこないかもしれません。キャリブレータ、カラーセンサーと他の呼び名もありますが、やはりニッチな業界だからか製品ラインナップを把握することが既に面倒だったりします。とりあえず、モニタ校正に使う手ごろなものだけ紹介しておきます。

Spyder4シリーズ
 Datacolor社のフィルター型センサー。付属ソフトの機能に応じてEXPRESS/PRO/ELITEとパッケージが分かれています。ただ、ソフトはフリーで高機能なdispcalGUIがあるので付属ソフトは使いません。上位モデルには環境光センサーが搭載されていますが、やはり使わないので安価なEXPRESSで構わないでしょう。センサー部はエディションに限らず共通です。おまけとして、iPhone/iPadで正確な色を再現できる画像ビューアも利用できるようになります。EXPRESSは参考価格12,600円。

ColorMunki Display / i1Display Pro
 X-Rite社のフィルター型センサー。名前こそ違いますが、例のごとく付属ソフトが違うだけでセンサーは同じです。もちろん安いColorMunki Displayで構いません。参考価格19,840円。

ColorMunki Photo/Design
 X-Rite社の分光測色計。上記の二つとは仕組みから違う高性能機です。分光測色計の中では圧倒的に安価な代わりに付属ソフトが貧弱です。プリンタープロファイルが作成可能で結果も優秀。モニタ校正専用でも広色域モニタには重宝します。参考価格54,800。

 付属ソフトは使わないので適当に安いものを入手してください。dispcalGUIで使える測色計は多く、既に販売終了したhueyや懐かしのSpyder 2なども対応しています。用途的に厳密な色合わせをするわけではないので精度にこだわる必要はないかと思います。
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